【完】君と流れ星を。
俺は梨紗の腕を掴んで、部屋を出る。


『ちょ、ちょっといっくん!』


『うるさいって』


大人しくなった彼女の横顔を盗み見る。

ふくれて、そっぽを向いて、その表情がどうしようもなく……かわいい。



いつからだっただろう。

気がついたときには、3人でいることが普通だった。

俺と梨紗と幸にい。

家が近所だった俺らは飽きることなく、毎日一緒にいたんだ。


2つ年上の幸にいは、高校受験で、急に遊び相手がいなくなった俺らは時間を持て余した。


外は刺すような寒さ。

指先にはぁっと息を吹きかけて震える様子をただ見つめる。


この時の俺には、梨紗の凍える手を温める勇気すらなかった。
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