【完】君と流れ星を。

* * * * *


次の週も、その次の週も先生のスパルタな指導が続いて、私は少しずつ星の名前と位置を覚えていった。


ふわふわした夢の中にいるみたいで、少し落ちつかなったけど。





気付けば、セミが騒がしく夏の訪れを告げている。


秘密の特訓開始から1ヶ月ほど経ったある日、私はいつものように準備室へ向かった。



冷気がドアのすき間から静かに足元へ流れ出て、心地よいであろう部屋の温度を想像させた。


「せんせ?」


声は反響もせず、返事もなく、低くうなるようなエアコンの音だけが聞こえる。
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