【完】君と流れ星を。
「んっ……」
器用にせまいソファの上で寝返りを打つ先生。
び、びっくりした……起きたのかと思った……。
その時、かすかに先生の唇が動いた気がして私は耳を傾けた。
「……………り…さ……」
りさ?
りさって?
人の名前に聞こえる。
しかも女の人の名前。
切なげな先生の寝顔。
私は静かに部屋を出た。
『りさ』って誰?
先生とどんな関係?
ねぇ先生、私たちの間に流れてると思ってた親密な空気は、私1人の勘違いだったのかな。
混乱した頭に、やけにうるさいセミの声が響いた。