【完】君と流れ星を。
「紗奈ちゃんには選ぶ権利がある。彼女はまだ高校生なんだ。それをお前が奪うのはおかしいだろ?
彼女にはもっと楽な道もあるんだ……それは、お前が一番わかってるはず。今ならまだ引き返せる」
それだけ言うと、倉地さんは店の奥に入っていった。
灰皿から残されたタバコの煙が漂って、広がって、エアコンの風に流されて消える。
俺は紗奈を好きなのか、
梨紗を好きなままなのか、
自分のことなのにわからない。
ずっとこんなんじゃダメだって頭ではわかってた。
何も知らない紗奈を、俺は騙し続ける覚悟も、真実を言う覚悟もどっちもないのに。