【完】君と流れ星を。
ねぇ、先生、なんで。
またからかってよ。
私のこと、からかってよ。
涙が頬をつたう。
それを澤田くんに見られないように、ちょっと暗くなってる木の下へ移動する。
澤田くんはゆっくりと私に近づいてくる。
「なんでもないんだよ」
「なんでもなくないだろ」
「なんでもないって!」
濡れた頬に澤田くんの手が触れた。
少し驚いて、後ろに1歩下がると、葉っぱが髪に触れてガサッと音を立てる。
「お前、無理ばっか。言えよ。もっと色々」
怒った顔でもない、照れた顔でもない……見たこともない彼の表情に私は身動きできなかった。