【完】君と流れ星を。
「…………」
どうしよう。言葉が出ない。
しかし────
「むかしむかし、天の川の西側の天人の世界に働き者の娘がいました――――」
横から聞こえた声に驚いて、手から落としそうになったレーザーポインタは静かに声の主に奪われる。
黙り込んでしまった私を助けてくれたのは、大島先輩だった。
そして、反対側の手に触れる温もりはきっと澤田くんの手。
真っ暗だと思った世界には無数の星があって、
私を助けてくれる人もいて、
ひとりぼっちじゃない。
私は涙を落とさないように上を向きながら、大島先輩の話を静かに聞いていた。