【完】君と流れ星を。
笑っていると、廊下に遠くから足音が響いてきた。


「お、誰か来たな。実験室に行こう。ほら、こんな場所に、こんな時間に二人でいると……誤解されるから」


先生の言葉にはっとしたけど、当の先生の方はにやっと笑った。

私の反応楽しまれてる!


「じゃあ、先に実験室に行きますね」


腕まくりしていたそでを直して、カバンを手に取り、ドアへ向かう私を先生が呼び止めた。


「藍原、ありがとな。それと、その髪型、かわいいよ」


私は何も答えずにドアを開けて廊下に出た。


私はまた耳まで真っ赤になっていたんだと思う。

先生の顔はきっと笑っているんだろう。


私の反応を楽しんでいるんだ……そう思っても心臓は大きく跳ねたまま、顔が熱かった。

少し冷えた廊下の空気が頬に当って心地いい。


誰もいない実験室のドアを開けて、電気をつけて、私は大きく深呼吸した。
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