【完】君と流れ星を。
「はぁはぁ……お前、意外と足速いんだな」
目の前に現れたのは息を切らして走ってきた先生だった。
私が呆気にとられている間に、先生との間合いは2メートル……1メートル……50センチ……どんどん縮んでいく。
「紗奈」
0センチ。
先生が私の右手を掴まえる。
「やっ……」
反射的に払いのけようとしたけど、びくともしなかった。
逃げ腰の私の手を掴んだまま、先生は反対の手で白衣のポケットから何かを取り出し、それを差し出した。
「誕生日おめでと」