【完】君と流れ星を。
* * * * *
きつい坂道を駆け上がると、冬を含んだ風が頬をかすめていく。
息を切らしながら、街を見下ろせる高台に建つあの場所へと急いだ。
本当はもっと早くここに来るべきだったのかもしれない。
心のどこかでマスターは何か知ってるって気付いてたのに。
怖がってた。
本当のことを知ってしまうことを。
カランカラン
私が勢いよくドアを開けたせいで、ドアベルが大きく鳴り響いた。
「紗奈ちゃん?どうしたの?」
マスターが驚いた顔でカウンターから出てきてくれた。
私は話そうと思ったけど、息がはずんで上手く言葉が出ない。