【完】君と流れ星を。
「事実を知らない紗奈ちゃんを傷つけることになるってこと、あの時のあいつにはその覚悟がなかった。だから、今なら引き返せるって言ったんだ。
でも俺は紗奈ちゃんのこと、余計に傷つけてしまったんだ」
そう言って、悲しげに笑うマスターに向かって首を横に振った。
だって、先生と私のことを想って言ってくれたことだから。
「樹は心を決めて、そして今度は紗奈ちゃんは迷ってるんだな」
迷ってる。
先生を好きなことはたしかなのに、好きだったはずなのに……
今はもう、好きって何か分らなくて。