【完】君と流れ星を。
「驚いたか?」
この声、先生の声だ。
「8時半ちょうどに消える設定になってるんだ」
伊集院先輩の声がした。
あ、だから急いで望遠鏡を組み立てていたんだ。
さっきまで見えていた部品のひとつひとつはもう見えなくなっている。
急にみんながかっこよく思えた。
目が慣れてくると月明かりだけで意外と色んなものがはっきり見える。
すぐにみんなの顔がわかるようになって、様子を見ると大島先輩が望遠鏡を覗き込んでいた。
私は好奇心いっぱいで近くに駆け寄る。
「あ、藍原さん、み、見て」
大島先輩に場所を譲られて、望遠鏡の前へ。
覗き込むと……
「月!写真のまんまだー!」
私の間抜けな感想に先生が吹き出した。
「なんだその感想は!」