【完】君と流れ星を。
先生はうなずいて、私の頭をなでてくれる。

それだけで私の不安はどこかに飛ばされてしまった。


「まあ、最近かまってやれてなかったしな。特別にお願い聞いてやるよ」


突然そんなことを言われ、戸惑う私の顔を覗き込む目は優しくて、それでいてやっぱり少しいじわる。


「ないの?お願い」


「……キスしてほしい」


恥ずかしさのあまり消え入りそうな声しか出せなかった。


「それだけでいいの?どこかに行きたいとか、あれ欲しいとかは?」


私は顔を左右に振った。

だって、本当に何もいらないから。


今はそれだけで十分だから。
< 463 / 497 >

この作品をシェア

pagetop