【完】君と流れ星を。
* * * * *
「おかえり紗奈」
教室に戻った私に千尋が声をかけてくれた。
千尋は入学して最初にできた友達で、帰宅部の私に対してテニス部に所属する活発な子。
「いいなーいっき先生と話してきたんでしょ?」
心底羨ましそうな顔の千尋に向かって、私は苦笑いしながら曖昧に頷く。
そこで昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、私たちはそれぞれ自席に戻った。
授業は現国。
よりによって1番眠い時間に、眠りを誘う先生の朗読。
窓ぎわに差し込む光は5月の陽気……私は眠気を振り切るために教室の中を見渡してみる。
みんな眠そう。
私はふと、1つ空いたままの席に目を止めた。