【完】君と流れ星を。

「テニスもうまくてね、たまに練習試合の相手になってくれるんだけど、うちの部のレギュラーと互角なんだよ!」


「え!!それでもテニス部には入らないんだ?」


千尋がうーんとうなりながら、苦笑いを浮かべた。


「テニスは『たしなみ』らしいよ」


頭がよくて、美人で、お金持ちで、その上運動神経もいいなんて……なんて神様は不公平なんだろ。

私は頭もよくないし、美人でもないし、お金もないし、運動神経も普通。


素直に憧れちゃうなぁ。


「それからねー」と千尋が急に声をひそめて、もっと顔を寄せろという風に手招きする。


「王子と付き合ってるってウワサだよ」


『え?!』と大声で言う前に私の口は千尋の手でふさがれた。


「紗奈!しー!」


私はコクコクとうなづいた。
< 96 / 497 >

この作品をシェア

pagetop