【完】君と流れ星を。
「テニスもうまくてね、たまに練習試合の相手になってくれるんだけど、うちの部のレギュラーと互角なんだよ!」
「え!!それでもテニス部には入らないんだ?」
千尋がうーんとうなりながら、苦笑いを浮かべた。
「テニスは『たしなみ』らしいよ」
頭がよくて、美人で、お金持ちで、その上運動神経もいいなんて……なんて神様は不公平なんだろ。
私は頭もよくないし、美人でもないし、お金もないし、運動神経も普通。
素直に憧れちゃうなぁ。
「それからねー」と千尋が急に声をひそめて、もっと顔を寄せろという風に手招きする。
「王子と付き合ってるってウワサだよ」
『え?!』と大声で言う前に私の口は千尋の手でふさがれた。
「紗奈!しー!」
私はコクコクとうなづいた。