社長!好きです!
翌週―――


「和ちゃんおはよう!」


いた・・・また、同じ電車に由。


ちょっと時間ずらしたつもりだったんだけど・・・



「二日酔い大丈夫だった?」

「うん、気がついたら兄貴のうちだった。
すごい怒られたよ。」


由は、少しずれて私に吊り革を譲ってくれた。

吊り革を掴むとその上を由が掴んだ。


今日も必要以上に接近してるな・・・。


初めて電車で会ったときからそうだったけど

由の傍はいい匂いがする。


思わず鼻からスーっとその香りを吸い込み



クラ~っと


なりそうになる。


ダメじゃん・・・なんなの私?



「怒られた?社長に?」


正気に返って話しを続け


「うん、弱いくせに飲みすぎるなってさ。
上に立つ者がそんなんでどうするとか・・ってね。」


「二日酔いで怒られたらキツイね。
社長って怒ると怖そうだし・・・。」


「怖そう?」


由が私の言ったことに不思議そうな顔をした。

なんかまずかった?


「ふ~ん、和ちゃんはそう見えるんだ。」

「いえ・・・そんな・・・。」

「兄貴のことそう言う人ってあんまりいないな~。」

「そっ・・・そう?」


やっぱ兄弟のこと悪く言ったら

気分悪い・・・よね?


て思ったら


「たいていの女性が兄貴のこと

『優しい』とか

『カッコいい』とか

『ステキ』とか

そんなことしか言わないよ。」



『優しい』?

『カッコいい』?

『ステキ』?


言えるかそんなこと!


『ムカつく』!

『無愛想』!

『性格最悪』!


なら言えるけど・・・



「そう・・なんだ。」

勝手に心の中で笑う。



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