パニック!!


  
どんっ!

「きゃっ!」
その瞬間、運悪く、誰かとぶつかってしまった。
(死ぬ~!)
「痛てーな(怒)」
[オ、オマエハ…]
クモ女のあわてる声が後ろから聞こえて、うっすらと目を開けると、
「ちっ、低級の悪霊じゃねぇか…」
機嫌悪そうな声でクモ女の方を睨む青年がいた。
「え?」
(この人、クモ女見えてる?)
びっくりして彼を見つめると、
「あ?」
機嫌悪そうにあたしを見つめる。灰色がかった髪に、紅がかった不思議な色の瞳。端正な顔立ち。

「…」

「何だよ。」

一瞬見惚れてたことに気がついて、ハッと今の状況を見ると、
「なっ!///」
あたしが彼押し倒すような状態になっているのに気がついた。
「ご、ごめん!!」
慌ててどこうとすると、
[ワ…ッドクナドクナッ!]
クモ女があたしの背に飛び乗ってきた。
「ぎゃっ!」
バランスを崩したあたしはぼふっと彼の胸に顔を埋めるような体勢になってしまった。
(ぎゃー!///)
「ちっ!」
彼は舌打ちすると、あたしの背中に左手を回して、抱きしめた。
「動くなよ」
そう言うと、どこかから取り出したお札みたいなのをあたしの後ろのクモ女に貼り付けた。
[ギャー!!]
案外普通の悲鳴を上げながらクモ女が青白い炎に包まれていき、そして、消えた。



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