☆ソラ☆
放課後、きっと菜緒は屋上に行く。
何故かそれを俺は確信していた。
今まで言えなかったことを伝えよう。
もし、上手く言葉がでなかったら、あのひと言だけでも伝えよう。
そう、思っていたのに…。

「連、中村先生が職員室に来いって言ってた。」

大輔が俺のところまで来るとそう告げた。
俺は舌打ちをしたい気持ちを押し込めると教室を出て職員室に向かった。

「連!」

職員室の前まで来ると、後ろから中村先生の声がした。

「何ですか？」

少し不機嫌な声で言った。
せっかくの気持ちが崩れていったからだ。

「何、怒ってんだよ。今日の3時から卒業試合するだろ？俺、少し遅れるかも知れねぇから先に練習しててくれ。」

「何で、俺に言うんですか？小池に言えばいいでしょう？」

俺は隣のクラスにいる元キャプテンの小池の名前を出した。

「いや、ちょうど大浦が通りかかったからな。お前、大浦と同じクラスだろ？」

「そっすね。」

何か疲れてきた。
中村先生は俺の返事を聞くと、ガハガハと笑いながら職員室に入っていった。
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