☆ソラ☆
精一杯だったけど、言えた。
菜緒に伝えたかった言葉。

俺は振り返らずに教室に入り、その場でしゃがんだ。
教室には誰もおらず、静かに机が並んでいるだけだった。
きっと、菜緒に届いているだろうと思った。
俺は握っていた拳をゆっくりと開いた。



菜緒をすきになって後悔なんてしなかった。
辛いことも悲しいこともたくさんあったけど、その分幸せだったこともたくさんあった。
菜緒と過ごした日々は俺にとって大切なものだった。
幼くて、誰かの助けが必要だったけど、でも、それでも俺にとっては大切なものだった。
大切なことをわからせてくれた。
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