☆ソラ☆
俺は立ち上がり、自分の鞄を持つと廊下に出た。
当然、そこにはもう菜緒の姿はなかった。
それでも俺はソラをもう一度見上げた。

相変わらずのキレイなソラだ。


“浅月君って、菜緒と付き合いだしてから空をよく見るようになったよね。…今も。”


見るよ。

多分、これからも。

そして、憶えている限り、この日々のことを思い出すだろう。

ゆっくりと足を進める。
俺は屋上へと続く階段とは、逆の階段を下りた。
下駄箱へと続く階段を。

下駄箱まで来ると自分の靴の上に2つ折りした紙切れが乗ってあった。
俺はそれを手に取り、ゆっくりと開けて、笑った。
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