☆ソラ☆

☆放課後☆

放課後、予定もなく教室でぼーっと薄暗い外を眺めていると、大倉君が教室に入ってきた。

「吉村、まだいたんだ。」

そう言うと、大倉君は自分の机の中をあさりだした。

「うん、もう帰るけど。忘れ物??」

私は帰るつもりはなかったけど、なんとなくそう言ってしまった。
大倉君は自分の机から漫画を出して、「これ取りに来た」と言った。
そして、その後こう続けた。

「今、下駄箱に連を待たせているんだ。帰り道、同じ方向だから一緒に帰る？」

大倉君は私を真っ直ぐ見て言った。

「…無理。」

大倉君は私の答えを聞くと背を向けて教室を出て行こうとした。
その後ろ姿に目を逸らすように窓の外に目を向けた。

「吉村っ、俺ははっきり言って、お前らを見ていて歯痒い!!言いたいことがあるなら言えばいい!!連に直接言えないなら俺にでもいいから言えよ!!」

大倉君は教室のドアのところで振り返って私に言った。

大倉君に言ったら楽になれるのかなぁと心の隅でチラッと思ったが、自分でもわからない気持ちを大倉君に話せるはずもない。

「…また、明日ね。ばいばい。」

私は大倉君に微笑むと、大倉君はまだ何か言いたそうな顔をしたが、それを押さえ「またなっ」と言って帰っていった。

私は大倉君の姿が見えなくなると、薄暗い外を見てため息を吐いた。
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表紙・目次

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