☆ソラ☆
私は教室の戸締りが終わると、階段を降りていった。
階段を降りたところで下駄箱のところから話し声が聞こえた。
その主が連と真由であることが声でわかり、私の足は止まった。

「今も菜緒のこと好きなの??ねぇ、連答えてよ!!」

連は何も言わず、靴を履き替えているみたいだった。
真由の質問に答えるかのように靴を床に落とす音が廊下に響いた。

「菜緒、最近屋島君と仲が良さそうだよね。あの2人付き合っているのかな?」

「さぁ?」

低い連の声が聞こえる。

「もしかして、もう付き合ってたりして!!お似合いじゃない??あの2人!!」

その言葉に反応するかのように私は下駄箱の前に立った。
それ以上、真由が出鱈目なことを連に吹き込ませるのを恐れるかのように。

私の存在に2人は気づくと口を閉じた。
私は何も言うことなく、連の横を通り過ぎて靴を履き替えた。

「ねぇ、菜緒。」

その声に少し心が震える。

「菜緒はまだ連のこと好きなの?」

真由は私の隣に立ち、冷たい目を向けながら聞いてきた。
私は俯き、震える心を落ち着かせながら

「…好きじゃない。」

と呟いた。
小さい声で呟いたつもりだったが、周りが静かなために連にも聞こえていただろう。

「じゃぁ、屋島君のこと好きなの??」

私は静かに真由のほうに顔を向けると、真由の後ろで俯いている連が見えた。

「違う。」

それだけ言うと私は2人に背を向けて玄関を出た。
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