☆ソラ☆
「本当に素直じゃないな…。」

葵は呆れた声で呟き、続けた。

「浅月君も男ならビシッとしたらいいのに。お互いに相手を思い合っていたら、大事なものが見えないよ。七森真由ぐらい強引に考えたらいいんだよ。…でも、わかるよ。『独占欲』って怖いもんね。その人を縛り付けてしまうもんね。」

葵は薄暗い空を見上げ、1つ1つ私に言ってくれた。

「でもね、人はエスパーでも魔法使いでもない。ただの人間なんだよ。黙っていても伝わらない。菜緒も浅月君が今何を思っているかわかんないでしょう??そして、浅月君も菜緒が何を思っているかわかんない。そのために人間には言葉があると思うの。浅月君も菜緒のことを考えていると思うよ。そうじゃないと、今頃菜緒に話しかけているだろうしね。」

「…葵。」

「菜緒、1つ聞いていい??」

「…うん。」

「菜緒は浅月君と付き合って後悔してる??」

私は葵の質問に首を横に振ると葵はそれを見て微笑んだ。

「それだけで、いいじゃない。それだけでも浅月君にとったら嬉しいことかもよ??」

「?…そうかな??」

葵はフフッと笑うと「帰ろう!!」と言って歩き出した。
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