☆ソラ☆
机を移動させろ!という中村先生の声に、皆は一斉に自分の机を動かし始めた。
 
そんな光景を私は教室の隅から見ていた。

「菜緒、やったね!!」
 
葵は私の前に机を運ぶと嬉しそうに話しかけてきた。

『すっごい偶然だよね。』
 
私も嬉しかった。
葵の近くにいると、心強く感じた。
 
ふっと隣を見ると、さっき廊下側の1番前に座っていた男の子がいた。
どうやら、私の隣の席らしい。
 
それが浅月連だった。
 
連の前の席(葵の隣の席)には、小学校が同じで小2・3・5のときクラスが同じだった大倉大輔がいた。
 
大倉君は背が高くて、この町では喧嘩が強いと有名だったので、女子には怖がられていた。
 
でも、私は大倉君のことを怖いとは思っていなかった。
それは、大倉君には親友がいた。その親友も喧嘩が強いと有名で大倉君とはペアで、いつも一緒にいた。
 
私は、その親友と仲が良かったので、大倉君のことは全然怖くなかった。
 
それに、二人は喧嘩が強いだけでなく、スポーツもできて、カッコイイので、彼らに密かに恋心を抱いていた子も多かった。
 
しかし、その親友は親の転勤で小5の秋に転向していった。
 
私は、その親友のことが好きだったけど、その気持ちを伝えることができなかった。
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