☆ソラ☆
俺は桜木の言葉に少し考えた後、首を横に振った。

大輔はそれを黙って横で見ていた。

「菜緒にも同じ質問したんだ。」

桜木の言葉に胸がドキンっと鳴った。

「菜緒も後悔してないって。…本当はね、言うべきではないかもしれない。これは二人の問題だから。でも、私たちはずっと近くで二人を見ていたから。だから、少し聞いて欲しい。その後、どうとるかは浅月君が決めればいい…。」

桜木が“私たち”と言った。
それが誰のことを指すのかはわかる。

「…菜緒は浅月君がすきがから別れたんだよ。菜緒は素直に自分の気持ちが言えないから、いつも苦労するの。でもね、菜緒の気持ちわかるんだ。どんなに相手が自分のことを思っていてくれても不安って絶対に消えないと思う。ほんの些細なことでも不安は積もっていく。それが、嫉妬になる。嫉妬している自分が嫌になる。好きな人にも嫌われるんじゃないかって思ってしまう。だったら、そんな気持ち失くしたいって考える。嫌われる前に失くしたい…。」

俺は黙って桜木の話を聞いていた。

「素直に自分の気持ちが言えたら、苦労なんかしなくてもいいのにね。それができたら、みんな幸せなんだろうね。」

桜木は俺に顔を向けて笑った。

「浅月君はこのままでいい?このまま、ここに立ち止まったままでいるの?」

俺は桜木の言葉に返事が出せなかった。
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