☆ソラ☆
帰り道、大輔が俺に

「女ってよくわかんねぇな。」

そう呟いた。

本当にわからなかった。

たぶん、わからないままなんだろう。

でも、菜緒は俺のことを嫌いになったわけではなかったんだ。
菜緒は今でも俺のことをすきでいてくれているのだろうか…?
俺は…?

「大輔…。俺、一度も菜緒と付き合って後悔したって思ったことなかった。あの頃は本当に幸せだったんだ。でも、俺は知らぬ間に菜緒を傷つけていたみたい…。」

「いいんじゃね?」

大輔は俺の隣で言った。

「俺、好きな人いねぇからわかんねぇけど、それでいいんじゃねぇの?吉村も後悔してないって言ってるみたいだし。それに俺たちまだガキだし。傷ついたり傷つけたりするほうが当たり前なんじゃねぇの?」

大輔は数学の難問を解くように険しい顔をしていた。

「今もすきなのか?吉村のこと。」

「よくわかんねぇや。すきだけど…。」

そこで俺は黙った。

「たぶん、吉村はお前がどう思っているか知らないんだろうなぁ。お前は、さっき桜木から吉村の気持ちを聞いただろう?でも、吉村は聞いてない。」

「桜木が言ってるかも知れないだろう?」

「いや、桜木は吉村には言わねぇと思うな。」

「はぁ?何で?」

「桜木は吉村のこと大切に思っているから。」

「…。」

大輔の言っている意味がわかるようで、わからなかった。

「なぁ、俺からも一つ。別に、難しいことなんか言わなくていい。でも、これだけは言わないといけないと思っていることあるだろう?それは吉村にちゃんと伝えろ。」

大輔が俺の目を見ながら真剣に言う。

「卒業まで、あと2日しかないんだ。それだけでも伝えろよ。」

大輔はそう言うと、ニカッと笑った。


今日は3月12日。
明日、明後日で中学校生活が終了する。

「どうせ高校も違うところだし、滅多に会うこともないだろう。すっきりしろよ。」

笑いながら、大輔は言った。



俺も菜緒も大輔や桜木を友達に持って幸せだなぁと実感した。
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