☆ソラ☆
最悪だ…。

連と目が合いそうなっただけで動揺するなんて。

真由にはっきりと自分の気持ちを言うだけで、連のことをさらに意識してしまう。

私はそんなことを考えながら階段を下り、下駄箱で靴を履き替えようと自分のスニーカーに手を伸ばしたとき、隣に人の気配がした。
隣に誰がいるのか、見なくても気配でわかる。
私はゆっくりと隣に目を向けると、やっぱり連がいた。

「これ。」

連が差し出した手には、私がさっき落とした雑巾があった。

「ありがとう…。」

私が雑巾を受け取ると連はさっさと通り過ぎていった。

“ありがとう”

私は連が歩いていった方向に振り返ったが、連の姿はもう見えなかった。

“ありがとう”

雑巾のことじゃない。

“ありがとう”

明日で卒業するんだ。

“ありがとう”

今やっと明日で最後だと気づいた。
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