無口な彼のカタルシス
『彼』の手がわたしの身体の一部に触れた、それだけでもう、天にも昇るような夢心地なのだけど、
でも……。
人差し指を立てて、自分の唇に触れて見せた。
(ねぇ、やり直して?)
「あ?」
『彼』は、さっぱり意味が解らない、とでも言いたげな不思議顔。
その人差し指を『彼』の口元に持って行き、今度は『彼』の唇に触れた。
(ファーストキス、やり直し)
『彼』はムックリと起き上がって、真っ直ぐにわたしを見据えた。
たちまち今さっき、自分がしたことの大胆さに気付き、顔が燃えるように熱くなった。
背の低いわたしの目線は、座っていたって『彼』のそれより低い。身を屈めた『彼』がわたしの顔を覗き込んで、
「キス……しろ?」
真面目くさった顔で、躊躇いながら尋ねた。
でも……。
人差し指を立てて、自分の唇に触れて見せた。
(ねぇ、やり直して?)
「あ?」
『彼』は、さっぱり意味が解らない、とでも言いたげな不思議顔。
その人差し指を『彼』の口元に持って行き、今度は『彼』の唇に触れた。
(ファーストキス、やり直し)
『彼』はムックリと起き上がって、真っ直ぐにわたしを見据えた。
たちまち今さっき、自分がしたことの大胆さに気付き、顔が燃えるように熱くなった。
背の低いわたしの目線は、座っていたって『彼』のそれより低い。身を屈めた『彼』がわたしの顔を覗き込んで、
「キス……しろ?」
真面目くさった顔で、躊躇いながら尋ねた。