鬼滅羅〈ｷﾒﾗ〉
第二章
私は、ごく一般的な、中流家庭に生まれた。
父親はただの会社勤めで、母親は週の半分をパートに出ていた。

私は彼らの一人娘だった。
愛している、といつも言われた。
なのに、私は愛を知らないままで、愛することも知らなかった。

彼らは、私が高校に行かないのなら勘当する、と言った。
だから私は高校を受けなかったのに、彼らは私を金で私立に入れた。
無名の高校だった。

行った先で、私は孕まされた。
バレー部のＯＢの知り合いだった。
その男は、暴力団を仕切っていて、渋谷では顔が利いた。
桐山と名乗っていたけれど、本当のところは分からなかった。

それでも、構わなかった。



私は、その男と家を出た。

そして、啓吾を産んだ。
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表紙・目次

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