見上げた空、願いを込めて






「じゃ、あたしぃ歌いまぁすっ!!」



そう言って立ち上がった女を見ながら、小さくため息をこぼす



何してるんだろう、俺



正直言って何も楽しくない



目の前に座っている裕斗は案外楽しそう…ってか根っからのタラシだからかもしれないが…


「ドリンク取ってくる」


まだ他の人のコップが半分以上残っているのを確認してからそう言って、コップを持って俺は席を立った


一瞬だけこちらに顔を向けて


「ああ!早く戻ってこいよ」


と言ってニカッと笑った裕斗とわかった、などの返事をする女



裕斗には悪いが…



俺は裕斗の視線が今歌っている子にもう一度向かった瞬間、スクールバックを持ち上げた



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