見上げた空、願いを込めて
Ⅳ
「あっちぃぃぃぃ!」
少し汗をかき、下敷きでパタパタと自分を扇いでいる裕斗
見ているこちらまで暑苦しくなってくる
「どうして恭夜は汗1つかいてねぇんだよっ」
下敷きを持っていない方の手で机を軽く叩き、半分以上が暑さの八つ当たりだろう怒りでそう叫ぶ裕斗
「黙れ」
ただでさえ暑いのにあまり暑苦しい行動は控えてほしい
ミンミンとうるさい蝉の声
季節は春から夏へと変化していた