君へ届け
夏休み寸前にどこ行っちゃったんだろう。
絵瑠とよく行く駄菓子屋や公民館を探ったがいなかった。
まさか、誘拐されてしまったのだろうか。
絵瑠は声が出せない。
どうしよう。
絵瑠に何かあったらどうしようっ…。
そうだ。
まだ学校の中は捜してないじゃないか。
一縷の希望をもって学校へ走った。
「えるー!」
何度も名前を呼んで、教室中あちこち見て回ったけど
やっぱりいない。
あーくそっ。
どこ行ったんだよ?!
「えるっ、いるなら返事…」
言いかけてハッとした。
絵瑠が返事できるわけないのに。
その時、小さな音がした。