君へ届け
田んぼの広がる道を歩きながら、ふと思い出した。
嫌がらせで、トイレに閉じこめられたあたしを助けてくれた蓮司は
あれから片時もあたしの傍を離れなくなった。
夏休みに入っても新学期が始まっても。
この道を、みんなにからかわれながら手を繋いで歩いたっけ。
俺がずっと傍にいてやるから。
守ってやるから…───
あたしを置いて帰ったことに
責任を感じてそう言ってくれたんだって、今なら分かる。
だけど当時のあたしは勘違いしてた。
ずっと一緒にいてくれて、これはプロポーズだとさえ思っていた。
あたしは蓮司と結婚するんだって思えて、嬉しかった。
今から考えれば恥ずかしい話だ。