君へ届け
…って、要するに原因は俺じゃねえか。
絵瑠に謝ろうとして横に向き直ると、なぜかキラキラした目で見つめられた。
「何?」
「蓮司、偶然とれたって言ってたけど…一生懸命とってくれたの?」
大事そうに、自分のケータイについたストラップを抱きしめる絵瑠。
どうしよう。
こいつ、可愛すぎる。
こうなったらやけくそだ。
「しょうがないじゃん。
絵瑠の喜ぶ顔、見たかったからさ」
隣の工藤までにやにやしだした。
「邪魔者は退散しよっかな~。2人も帰れば?」
「蓮司、部活は?」
「今日、ない」
何でないんだ。
今こそ、絵瑠から逃げ出すために部活したい。
今日ならグラウンド100周だって走ってやるのに…!