さよならは言わない~涙の離任式~【ショートストーリー】
1年生の夏休み前の終業式のこと。
喜多先生はわざと怖そうに体育館を歩く。
生徒と生徒の間を先生がゆっくりと歩くだけで
周辺が静かになる。
あんなにかわいい顔するのにね…
今は、眉間にしわを寄せて、肩をいからせて歩く。
もうすぐ私の横を通る。
何か声をかけてくれるのかな…
こういう場面でいつも先生は
何か言ってくれる。
「うるせーぞ!」
「スカート短い!」
とかね。