さよならは言わない~涙の離任式~【ショートストーリー】
夜中のゲーセン
2年のクラスも好きにはなれなかった。
真面目で
面白くない。
休み時間も授業中も変わらないくらい退屈だった。
中学の仲間と毎晩遊んでいた。
遊ぶと言っても、地元のゲーセンで適当に遊んで帰るだけ。
100円玉をいくつか握り締め、欲しくもないぬいぐるみを狙う。
その店にはUFOキャッチャーの達人と呼ばれるお兄さんがいて、
いつもその人に近付いて、取ってもらっていた。
「今度どっか行かない?」
達人のお兄さんも、やっぱりただの男で…
拒否してからは、手を貸してくれなくなった。
そんな日々を過ごしていても
私は満たされていた。
何があっても私を守ってくれる大きな存在がいたから。
「おい!いい加減にしろや!」
プリクラに並んでいた私の背後に大きな影が現れた。
その声は
私の大好きな人の声だった。
たくさん知っている声の中でも
最上級に『怒』が『大』の声…