さよならは言わない~涙の離任式~【ショートストーリー】
2人きりの勉強会
季節の移り変わりは早く、もう2年生も終わりに近づく3学期。
私は勉強でわからないことがあると、生徒指導室へ行った。
と言うか、それを理由にして、毎日先生に会いに行った。
「俺は数学の教師じゃないんだぞ!」と言いながら、喜多先生は難しい数式をスラスラと教えてくれる。
「俺は昔から化学だけは苦手だったんだ」なんて言う癖に嬉しそうに教えてくれる。
さすが教師。
ますます惚れ直しちゃうよ。
生徒指導室はいつも生徒がたくさんいた。
やっぱり喜多先生の人気はじわじわと上がってきていた。
知ればわかるもんね。
この先生の心が温かいこと。
生徒を大事に思ってること。