さよならは言わない~涙の離任式~【ショートストーリー】
帰り道、マンゴーの飴を買った。
寒い寒い夜。
口の中に広がる甘い香り。
涙が止まらなかった。
喜多先生とのたくさんの思い出が
頭の中で何度も繰り返し繰り返し上映された。
思ってもみなかった。
転勤なんて考えてもいなかった。
学校を去るのは、卒業する生徒であって、
教師が学校を去るなんて…
思ってもみなかった。
喜多先生は
私の卒業を見届けてくれるものだと信じていた。