さよならは言わない~涙の離任式~【ショートストーリー】
先生から渡された飴をぎゅっと握り締めて、頷いた。
「ううぅ…うん…先生、約束破ったら…許さないから…」
喜多先生は、目に涙をためて、世話の焼ける生徒の頭を撫でた。
「しっかり頑張れよ!遠くから応援してるから!」
出された右手。
ぎゅっと握手してくれた。
温かい大きな手。
もう
あの部屋に行っても先生はいない。
「先生、先生も頑張ってね!!…絶対頑張って、先生の良さをわかってもらうんだよ。先生、誤解されやすいから…」
喜多先生は、握手した手を離さずに、握ったまま笑った。
「お前に心配されるとは…ありがとな。俺も頑張るからお前もな!」