あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
朝、学校に登校すると、「園崎」と下駄箱のところで霧島君に声をかけられた

バスケ部のジャージを来て、息をきらしているのを見たところ…ついさっきまでランニングでもしていたみたい

もう、部活に出ているの?

昨日、怪我したばかりなのに

「おはよう、霧島君」

革靴を脱ぎ、下駄箱にしまっていると眼前に茶色の封筒がスッと飛び出してきた

「これ…昨日の」

「え? 昨日?」

「タクシー代」

「いらないよ」

私は慌てて首を横に振った

あれは私が無理言って、乗ってもらったようなものだし

「悪りぃだろ」

「悪くないよ。だってもともと霧島君は歩いて帰るつもりだったんだし」

「いいから、受け取れって」

「受け取れないよ」

霧島君の腕がぐいぐいと前に出てくる

私は首をさらに振って、受け取らないと意志表示をした

「霧島! 体育館で顧問が呼んでるぞ」

「了解」

霧島君と同じジャージを着ている男子が、通り過ぎ様に声をかけていった

「…つうことだから。昨日の金はここに置いていくから」

霧島君は私の上履きの上に、ぽんっと茶封筒を置いて下駄箱を出て行った

こ…困るよっ

霧島君からお金を貰うわけにはいかないのに
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