あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
すっかりいつもの関係に戻ってしまった

教室の片隅で、私は文庫本を読みながら小さくため息を零した

教室の真ん中で霧島君がクラスの友達たちと、楽しく盛り上がっている

私は一人で、本を読んでいる

霧島君が一方的に置いて行ったタクシー代を返そうと、チャンスをうかがうが…そんな機会なんて全然無くて

渡したいのに、渡せない

タクシー代はワリカンじゃなくて、全額封筒に入ってた

私の我儘で、タクシーに乗って霧島君と一緒に帰ったのに

どうして霧島君が全額負担しなくちゃいけないのか

私が言いだしたのだから、私が全額負担するべきことだ

だから返したいの

霧島君のお金を、霧島君に返したいのに…声をかける隙がないよ

困ったな…と口だけ動かして呟くと、私は本を閉じて窓に目を向けた





どうやったら、霧島君と仲良くなれるのかな?
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