あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「受験を考えるなら、部活なんてしている余裕は…」

「先生っ、園崎は何も考えられないガキじゃねえだろ。部活をやりてぇって言ってんだから、それでいいじゃん。急激に成績が落ちたわけじゃねえし、高3の夏も過ぎれば、部活は引退になるし、それからだって別に遅くねえだろ」

霧島君が、面倒くさそうに先生に言い返した

ああ、どうしよう

私、霧島君に迷惑をかけてる

霧島君が悪いわけじゃないのに…私はどうしたらいいのだろう

「霧島の成績と、園崎の成績を一緒にするな。彼女は…」

「関係ねえよ。受験が高校生活の全てじゃねえだろうが。勉強だけが、生きるのに必要なことかよ? ちげえだろ。やりたいことをやれねえ学生生活なんて、誰だっていらねえよ」

「霧島っ!」

「んだよ、俺、別に間違ったこと言ってねえだろ」

「お前と、園崎は違うって言ってる意味がわかってない」

「一緒だろ。同じ高2だ。なんも違うところなんてねえよ。意味がわかってねえのは、先生のほうだろ」

やめて…霧島君が、怒ることじゃないよ

先生と喧嘩しないで

「あのっ! わかりました。辞めます。部活、辞めますから」

「園崎?」

霧島君がぐっと肩を掴んだ

「ごめんなさい。これ以上、霧島君に迷惑はかけらないから」

私は腰から身体を二つに折ると、霧島君に謝った

「そうか、そうか。じゃあ、今日から勉強に本腰を入れて頑張って」

満足した田中先生が、にこにこ笑顔で校舎のほうに一人で戻って行く
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