あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
高校3年 2学期

高2の最後に、マネをやったのは夢だったのではないか? と、思ってしまうほど、私の生活は今まで通りになっていた

朝から晩まで勉強漬けの毎日

夏休みは予備校と図書館に通い、ひたすら机に向かっていた

目指すはT大現役合格

それしか道がない

私にかけられている大人たちの望みはそれだけ

私はそれに応えなくちゃいけない

私にできるのはそれしか…ないから

それしか……

『やっぱあの噂って本当かもねえ』

『ああ、霧島君と三崎さんが付き合ってるって? アリかもよ。だって部員とマネが付き合うってよくあることじゃん』

『だよねえ』

廊下を通り過ぎていく同級生の女子たちの言葉が、私の耳を突き抜けていく

霧島君と三崎さんが付き合ってる

可能性はそりゃ…あるよね

夏の大会を最後に部活を引退した霧島君

部活中に恋愛がどうのこうの…ていうのが嫌だって思っていても、今はもう部活は関係ないんだし

三年間、部活で苦楽を共にしてきた女子と恋愛関係になってもおかしくないよ

私は廊下で足を止めると、窓から外を眺めた

私には遠い世界だなあ

霧島君は遠い存在の人で、ただ遠くから見ているだけの憧れの人

『好き』ってすら言えない…まるで芸能人みたいな人
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