あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
霧島君が辿りついた長テーブルには男女混合で、十人くらいが座っていた

どの人たちも見たことのある人たちばかり

バスケ部員たちだ

その中に三崎さんも混じってる

霧島君の隣の椅子に三崎さんが座っていた

霧島君はガサガサと鞄の中を漁ってから、折りたたみ傘を手に持ってまた私のところに戻ってきた

「これ、使え」

ずいっと私の前に、男物も傘が差し出された

「霧島君のじゃ…」

「園崎は傘を持ってないんだろ? だから使えって。俺は部室に使ってない傘があるのを知ってるから、それを借りる。ほら」

「いいの?」

「いいから、差し出してるんだろ」

それも、そうだ

嫌なら最初から、貸そうなんて思わないもんね

私はそっと手を出すと、霧島君の傘を受け取った

「ありがと」

「気にすんな」

霧島君が少しだけ微笑むと、私に背を向けて元の場所に戻って行く

ありがとう、霧島君

私はぎゅっと傘を握りしめると、心の中で強くお礼を述べた

霧島君と、また話せる機会に恵まれるなんて思わなかったから嬉しいよ

すごく幸せ
< 38 / 114 >

この作品をシェア

pagetop