あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
私…こと、園崎 桜は自他共に認める運動音痴

小さい頃、身体が弱くて家にいることが多かったせいか…運動の能力が成長しなかったみたい

そのかわりっと言うわけではないけど、勉強ならちょっと自信があるよ

誰にも負けないってほどじゃないけど、今のところ、学年1位をキープ中

それくらいしかとり得ないんだけど

人と付き合うのが下手だし、空いている時間にできることって勉強しかなかったから

いつの間にか、成績だけは良くなってた

読みかけの文庫本にしおりを挟むと、私はことんと机に文庫本を置く

そろそろ、帰ろうかな

薬も効いてきたし、先生はいないけど残っている必要はないよね?

夕暮れ時の空を確認して、私は保健室の時計に目をやった

突然、ガタンという戸の大きな音が鳴り響くと、ガラガラと保健室のドアが開いた

「ああ、人がいた! ちょっと君、手伝って」

バスケット部のジャージを着た大きな体格の男子たちが数人、誰かを抱えながら入ってくる

中央で抱えられているのも、どうやらバスケ部の人らしい

バスケ部のシャツが、人の合間からちらりと見えた

どうしたんだろうか?

「君さ。ここ押さえてて。俺らは先生を探してくるから。頼むよ」

「え…あの…」

ぐいっと腕を引っ張られた私は、無理やり赤い何かを掴まされた
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