あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
「霧島君、これ…どうして…」

「部活中に怪我した。目じゃねえから平気。瞼のちょっと上を切っただけだ。縫うかもしんねえけど、死なねえから」

「すごい血の量だよ!?」

さっき保健室に来た人たちも、血だらけだったし

霧島君のシャツだって、手だって…タオルだって真っ赤になっているのに

「まあ…頭の近くだから、出るもんは出るだろ。ぱっくり切れてるし」

「ぱっく…!?」

「パックンチョ」

「パ……って、冗談言ってる場合じゃあ…」

霧島君がケタケタと笑い出す

とても怪我をして、血だらけで保健室に飛び込んできた人には思えないヒョウキン振りだ

痛いんじゃないの?

こんなに血を流して…普通なら笑ってられないんじゃ…

「い…痛くないの?」

「痛いよ、そりゃ。だからって騒いでも痛みが軽くなるわけじゃねえし」

「そうだけど。こんなに血が出てるのに」

「病院に行けば、止まるだろ」

「そういう問題?」

「ん。俺にとったら、そういう問題」

霧島君がくいっと口の端を持ちあげて笑った
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