あなたを好きになってもいいですか?―初恋物語―
ほどなくして、さっき保健室から出て行ったバスケ部員の人たちが保健医を探し当てて、連れてきてくれた

『また怪我したの?』と保健医が言いながらも、手早く霧島君の傷口を確認する

病院に行ったほうがいいという判断を下され、車を持っている先生が、近くの病院に霧島君を乗せていくことになった

当然、バスケ部員が霧島君を付き添って行くのだろうと思っていたのに…なぜだか私が、霧島君の付き添いになってしまった

どうして? なんで?

そんな疑問符が浮かんでは消えながら、病院の廊下で霧島君の処理が終わるのを待っていた

私の隣には、自分の手荷物と霧島君の手荷物がある

処置が終わったら、すぐに帰っていいらしい

車を出してくれた先生が、処置結果を学校に伝えてくれる

私は読みかけの文庫本を出して、いつ終わるかわからない霧島君の処理を待っていた

怪我をしても、意志の強い眼差しは消えてなかった

凄いなあ

あんなに血が出ていたのに、痛がりもせず、泣きごとも言わないなんて

私だったら、卒倒しているよ

あんなに血が出たら、「死んじゃう」って思う

霧島君は強いなあ

強くて、格好良いよ
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