エゴイスト・マージ
裄埜と雨音
「あ……」
家に帰ろうと駅近くに来ると
前に一人で歩いてる裄埜君を見付けた
だからといって別に声を掛けるほど
親しいわけじゃないしと
何気に見てると
手にはスーパーの袋を
提げてるのに気づいた
何だか不釣合いに見えたけど
お菓子とか別に男子だって買うだろうし
そんな事を考えてながら
距離をとりつつ歩く
「わっ!!」
考え事をしていた為
いつの間にか俯き加減だった所為で
前の人にうっかりぶつかってしまった
「す、スミマセン!」
額を押さえつつ必死に謝る
「クスクス」
近くで漏れる笑い声にその頭をあげると
目の前に裄埜君が立っていた
「月島って……」
その続きは無く又声を殺して笑う
幾らなんでも
「……笑いすぎ」
「ゴメンゴメン」
「何かに気を取られてたの?」
「え……いや、ボーっとしてただけ」
まさか当の本人とは言えず言葉を濁す
「ふーん」
私が歩き出すとそのペースに合わせて
ゆっくりと裄埜君も歩き出した
「月島もこっち?」
「電車で二駅」
「え?てことは篇堰?」
「そうそう」
「マジで?同じ駅じゃん」
「全然見かけたこと無いね」
同じ駅だといっても乗る時間や
車両によっても全く
会わなかったりするし、それかな
裄埜君もそう思ったらしく
「月島、何時に乗ってる?」
「私7時2分」
「早っ!どうりで会わないわけだ
何でそんなに早い?部活してたっけ?」
俺、7時28分で行ってるけど余裕で
朝練間に合うけどなぁ」
「してないけど、ラッシュが苦手で」
「ああ、成る程」
本当は苦手というレベルでは無く
密閉された空間で近くで
男の人が周りに沢山立ってる
あの独特な圧迫感がどうしても慣れなくって
何度か気分が悪くなって
途中で駅を降りてしまった事がある
以来、次第に時間が早く
なりあの時間帯になっていた
「月島、いつも一人で帰ってる?」
「うん。友達こっち方面の人いないし」
「ふーん。そうなんだ」
「裄埜君は?」
「俺は部活の奴と帰ったりもするけど
買い物とかで店に寄ることも多いから
結構一人で駅まで向かうこと多いよ」
「そうなんだ」
(それで今日も一人だったのかな)
ホームに滑り込む電車に二人で乗り込み
反対側のドアの扉に寄りかかる
自然と向かい合う形になりながらも
目は流れ行く景色を意識的に追う
シャシャ
聞こえた音の方向で
そのビニールに視線がとまった
覗くつもりはなったけど
チラリと見えるモノに
ちょっと驚いた
「……牛乳」
思わず口に出てしまって
慌てて口を押さえた
だけど当の裄埜君気にした風でもなく
「あ、コレ?
今日シチュー作ろうと思って」
とニッコリ笑って言った
家に帰ろうと駅近くに来ると
前に一人で歩いてる裄埜君を見付けた
だからといって別に声を掛けるほど
親しいわけじゃないしと
何気に見てると
手にはスーパーの袋を
提げてるのに気づいた
何だか不釣合いに見えたけど
お菓子とか別に男子だって買うだろうし
そんな事を考えてながら
距離をとりつつ歩く
「わっ!!」
考え事をしていた為
いつの間にか俯き加減だった所為で
前の人にうっかりぶつかってしまった
「す、スミマセン!」
額を押さえつつ必死に謝る
「クスクス」
近くで漏れる笑い声にその頭をあげると
目の前に裄埜君が立っていた
「月島って……」
その続きは無く又声を殺して笑う
幾らなんでも
「……笑いすぎ」
「ゴメンゴメン」
「何かに気を取られてたの?」
「え……いや、ボーっとしてただけ」
まさか当の本人とは言えず言葉を濁す
「ふーん」
私が歩き出すとそのペースに合わせて
ゆっくりと裄埜君も歩き出した
「月島もこっち?」
「電車で二駅」
「え?てことは篇堰?」
「そうそう」
「マジで?同じ駅じゃん」
「全然見かけたこと無いね」
同じ駅だといっても乗る時間や
車両によっても全く
会わなかったりするし、それかな
裄埜君もそう思ったらしく
「月島、何時に乗ってる?」
「私7時2分」
「早っ!どうりで会わないわけだ
何でそんなに早い?部活してたっけ?」
俺、7時28分で行ってるけど余裕で
朝練間に合うけどなぁ」
「してないけど、ラッシュが苦手で」
「ああ、成る程」
本当は苦手というレベルでは無く
密閉された空間で近くで
男の人が周りに沢山立ってる
あの独特な圧迫感がどうしても慣れなくって
何度か気分が悪くなって
途中で駅を降りてしまった事がある
以来、次第に時間が早く
なりあの時間帯になっていた
「月島、いつも一人で帰ってる?」
「うん。友達こっち方面の人いないし」
「ふーん。そうなんだ」
「裄埜君は?」
「俺は部活の奴と帰ったりもするけど
買い物とかで店に寄ることも多いから
結構一人で駅まで向かうこと多いよ」
「そうなんだ」
(それで今日も一人だったのかな)
ホームに滑り込む電車に二人で乗り込み
反対側のドアの扉に寄りかかる
自然と向かい合う形になりながらも
目は流れ行く景色を意識的に追う
シャシャ
聞こえた音の方向で
そのビニールに視線がとまった
覗くつもりはなったけど
チラリと見えるモノに
ちょっと驚いた
「……牛乳」
思わず口に出てしまって
慌てて口を押さえた
だけど当の裄埜君気にした風でもなく
「あ、コレ?
今日シチュー作ろうと思って」
とニッコリ笑って言った