エゴイスト・マージ
「お前ら付き合ってるのか?」
いきなり、そんなことを言われたのは
職員室で、日誌を渡そうとした
担任の口から
「は?」
「またまた~とぼけちゃって
月島、3組の裄埜と
付き合ってるんだろ?」
「なななな、何言ってるんですか!?」
職員室で。
何かのついでみたいな軽いノリで
しかも根も葉もないコトを
もともと担任は裏表が無いと言えば
聞こえが良いいけど、かなり天然で
状況判断が甘い
ようはデリカシーに欠けてるってこと
普段は面白いし、嫌いじゃない
この言葉の意味だってきっと担任とっては
さして深い意味は無いんだろうけど
よりによってここ職員室で
言う言葉?
それは単に付き合ってるって言葉に
反応したのか
或いは”あの“裄埜”君って
事のどっちかはわからないけど
周りを見ると
他の先生達が聞くとは無しに
チラチラとこっちを伺ってるのが分かる
ふと視線の先に
三塚がいて机で何か書いてる姿が見えた
「違います!
テキトーな事言わないで下さい」
「アレ?そうなのか?何か噂聞いたぞ?」
「噂?本人が違うって言ってるんです!」
私が必死で反論してるのを見て
「……いいですなぁ。青春ってヤツは」
担任の隣の席の社会の本田先生が
ボソリと呟いた
「ああ、照れてるのか」
担任は私が照れて否定してるのだと
そう勝手に肯定したみたいだった
「ごめんごめん~」
見当違いで且つ、悪気のかけらも無い
謝罪で言葉を濁す担任
「……」
何を言っても通じない青春を
とっくに過ぎた
先生らを説得するのは無駄みたいと
思い直し始めた頃
再度、目を向けたその席に
もう三塚はいなかった
少し前まで沢山いる
教師の一人でしかなかった
何でかな
自分でもよく分からないけど
例の記憶が飛んで以来
三塚の動向を気にする私がいる
それまで見えてなかった三塚の
色々な部分を知るようになった
授業中の真面目な顔
生徒に囲まれてる時の穏やかな顔
そして
放課後、
また三塚が女子から
告られてるのを教室の外で
聞いてしまった
やっぱり火の無いところに
煙は立たないと言う通り
こうやって三塚と接する機会が
多くなるにつれ
事あるごとに他の教師以外の生徒からも
よく告白まがいの現場に出くわした
噂は本当だったんだ
ううん、噂以上に多いかもしれない
でも三塚は告られる一方で
相手に声を掛けたりする事はおろか
ましてや自分から誘うなんてことは
一度も無かった
それは同時に
あの日の出来事が真実であったことを
知ることにもなった
三塚は決まって短いスパンで
自ら別れを切り出す
その言葉はいつも辛辣極まりなかった
あの時と同じ、鮮やかに微笑みながら
鋭利な言葉を囁く
相手を絶望と落胆に追い込む言葉を選び
三塚の目の前で泣き崩れていく姿を
三塚がその姿を見て笑む、あの顔を
何度みたことだろう
まるで別人。全てが正反対
どっちが本当の三塚?
もうこの頃の私は三塚という存在が
気になって仕方なくなっていた
見ているから分かる
知りたいと思うから気が付く
様々な事
三塚は先生とか父兄には
躊躇い無く簡単に誘いに乗るクセに
生徒には一度も応じたためしは無い
「生徒じゃ対象にならないの?」
「っていうか、
一応好きだから付き合うでしょ?
なのになんですぐ
……あんな言い方で別れたりするの?」
私は知りたいという欲求を
押さえきれず
つい、
うかつにもソレを口にしてしまった
……三塚の核心に
抵触するとは知らずに
いきなり、そんなことを言われたのは
職員室で、日誌を渡そうとした
担任の口から
「は?」
「またまた~とぼけちゃって
月島、3組の裄埜と
付き合ってるんだろ?」
「なななな、何言ってるんですか!?」
職員室で。
何かのついでみたいな軽いノリで
しかも根も葉もないコトを
もともと担任は裏表が無いと言えば
聞こえが良いいけど、かなり天然で
状況判断が甘い
ようはデリカシーに欠けてるってこと
普段は面白いし、嫌いじゃない
この言葉の意味だってきっと担任とっては
さして深い意味は無いんだろうけど
よりによってここ職員室で
言う言葉?
それは単に付き合ってるって言葉に
反応したのか
或いは”あの“裄埜”君って
事のどっちかはわからないけど
周りを見ると
他の先生達が聞くとは無しに
チラチラとこっちを伺ってるのが分かる
ふと視線の先に
三塚がいて机で何か書いてる姿が見えた
「違います!
テキトーな事言わないで下さい」
「アレ?そうなのか?何か噂聞いたぞ?」
「噂?本人が違うって言ってるんです!」
私が必死で反論してるのを見て
「……いいですなぁ。青春ってヤツは」
担任の隣の席の社会の本田先生が
ボソリと呟いた
「ああ、照れてるのか」
担任は私が照れて否定してるのだと
そう勝手に肯定したみたいだった
「ごめんごめん~」
見当違いで且つ、悪気のかけらも無い
謝罪で言葉を濁す担任
「……」
何を言っても通じない青春を
とっくに過ぎた
先生らを説得するのは無駄みたいと
思い直し始めた頃
再度、目を向けたその席に
もう三塚はいなかった
少し前まで沢山いる
教師の一人でしかなかった
何でかな
自分でもよく分からないけど
例の記憶が飛んで以来
三塚の動向を気にする私がいる
それまで見えてなかった三塚の
色々な部分を知るようになった
授業中の真面目な顔
生徒に囲まれてる時の穏やかな顔
そして
放課後、
また三塚が女子から
告られてるのを教室の外で
聞いてしまった
やっぱり火の無いところに
煙は立たないと言う通り
こうやって三塚と接する機会が
多くなるにつれ
事あるごとに他の教師以外の生徒からも
よく告白まがいの現場に出くわした
噂は本当だったんだ
ううん、噂以上に多いかもしれない
でも三塚は告られる一方で
相手に声を掛けたりする事はおろか
ましてや自分から誘うなんてことは
一度も無かった
それは同時に
あの日の出来事が真実であったことを
知ることにもなった
三塚は決まって短いスパンで
自ら別れを切り出す
その言葉はいつも辛辣極まりなかった
あの時と同じ、鮮やかに微笑みながら
鋭利な言葉を囁く
相手を絶望と落胆に追い込む言葉を選び
三塚の目の前で泣き崩れていく姿を
三塚がその姿を見て笑む、あの顔を
何度みたことだろう
まるで別人。全てが正反対
どっちが本当の三塚?
もうこの頃の私は三塚という存在が
気になって仕方なくなっていた
見ているから分かる
知りたいと思うから気が付く
様々な事
三塚は先生とか父兄には
躊躇い無く簡単に誘いに乗るクセに
生徒には一度も応じたためしは無い
「生徒じゃ対象にならないの?」
「っていうか、
一応好きだから付き合うでしょ?
なのになんですぐ
……あんな言い方で別れたりするの?」
私は知りたいという欲求を
押さえきれず
つい、
うかつにもソレを口にしてしまった
……三塚の核心に
抵触するとは知らずに