クズレタ果実【完】
良い物件が見当たらず、私は検索を止めた。

起き上がり、倫子に返さなければいけないお金を持ち、部屋を出た。



「倫子、これ返す」



「何?これ…」



「食費に渡されてた分」



「…そう」



寂しそうに現金を受け取った倫子は、服を詰め終えたキャリーバッグのファスナーを閉めて、腰を上げた。

通帳にお金を挟み、鞄へ無造作に向かう倫子。

もう、出て行くらしい。
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