クズレタ果実【完】
「しばらくは、ホテルに泊まるから、自由に使って?今まで、ごめんね…」



「倫子…!」



閉ざされたドア。

私は追い掛ける事が出来なかった。

呆然と廊下に立ってると、赤松とユカリが出て来る。



「あの子、自分の花、咲かせられんのかな」



「……」



「余分な芽は取り除かないと、また繰り返し。五条倫子の毒とも言える、花ばかりが開く」



ユカリはそれだけを言って、携帯で時間を確認し、慌て始めた。
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